2025/02/23
異物を飲み込んでしまったら

手段① | 催吐 |
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手段② | 内視鏡 |
手段③ | 開腹手術 |
「異物」には中毒になるなもの(チョコレート、たまねぎなど)や固形物(おもちゃなど)があります。
いずれにせよ早期発見・早期治療が大切です。
なるべく早めに受診しましょう。
余談ですが、ネットの情報に「吐かせるために大量の塩を飲ませろ」だとか「牛乳を…」だとか書いてあることがあります。
中には危険な方法もありますので、まずは獣医師に相談するようにしましょう。
何をどのくらい飲み込んだかが重要なので、飲み込んでしまったものと同じもの、分かれば商品名、固形物であれば残っている部分などご持参ください。
ヒモ状の異物は特に注意が必要です。
手順
① 検査
飲み込んだものに応じて血液検査やレントゲン、エコーなどの画像検査を行います。
異物を飲み込んだ直後だったり飲み込んだ物が明らかである場合は直ちに②へ進む場合もあります。
異物がレントゲンに写りにくいものだったり飲み込んだかどうか定かではない場合や、異物の位置を確認するために造影検査を行う場合もあります。
バリウム検査とも呼ばれ、胃腸の内部を詳しく見るための検査です。
何分かおきに何回もレントゲン撮影をするためトータル数時間かかります。
② 催吐処置
薬の中には静脈からの急速投与で吐き気を催してしまうものがあります。
その副作用を利用して嘔吐を試みます。
止血剤や抗生剤など体へ負担が少ないものを使用しますのでご安心ください。
しっかりと吐き出し切れたと判断される場合はここで終了です。
状況に応じて胃薬などを投与、処方する場合があります。
③ 治療
吐ききれなかったり、時間が経って消化吸収されていたりする場合は必要に応じて内科的な治療を行います。
固形物が出てこなかった場合は④へ進みます。
④ 内視鏡
胃カメラとも呼ばれ、細い管のようなカメラで胃や腸を見る機器です。
全身麻酔下で行います。
レントゲンに写らないものや本当に飲み込んだかどうか定かではない場合のチェックとしても利用します。
異物を確認できた場合、内視鏡の先端から鉗子(小さなものを掴む道具)を用いて異物を取り出すことを試みます。
お腹を開ける必要がないため体への負担は最小限で済みますし、当日お帰りいただけます。
しかし、鉗子は非常に細く非力なので、引っ張っても取り出せない場合や内視鏡では届かないところまで異物が流れてしまっている場合は⑤へと進みます。
⑤ 開腹手術
お腹を開けて胃や腸から直接異物を取り出します。
腸に詰まっていた時間が長い場合は腸が壊死しかけている場合があります。
肉眼的に確認し、回復が見込めない場合は痛んだ部分を切除します。
状況に応じて数日から1週間ほどの入院となります。
消化管内異物で何度もお腹を開けるハメになる子は珍しくありません。
迅速に適切な処置を行うことで、多くの場合は無事に回復します。
異物の飲み込む癖がある場合は、飲み込むようなものを出さないようにしておくのはもちろんですが、うっかりしまい忘れることもありますから、何が置いてあってもくわえない、飲み込まないようにトレーニングすることが大切です。
系列サロンBamboo Leafにてドッグスクールを開催しておりますので、トレーナーに相談して頂ければと思います。
何かご心配なことがございましたら、いつでもご相談ください。 獣医師が、状況に合わせて最適な治療法をご提案いたします。