2015/11/20
今回は骨折の手術を紹介します。
と言っても、ただの骨折ではなく、骨折から1年以上経ってしまった骨折の手術です。
若いポメラニアン(おそらく2歳前後)のベリーちゃん。
長期ホテルと骨折の手術をして欲しいとのことでいらっしゃいました。
骨折??
見た目にはまったく骨折しているようには見えず、元気に走り回っています・・・。
話を聞くと1年程前に新宿で保護して、骨折しているとは気づかずに飼っていたそうです。
他のホテルに預けたときに骨折していると指摘されたそう。
確かに触ってみると、左の大腿骨がゴリっとしている。(太ももの骨)
変な風に自然にくっついたのだろうと思い、痛がる様子もないし手術は必要ないのではと考えましたが、念のためレントゲンを撮ってみました。
すると・・・まだくっついていないではないですか!
体重も3kgと軽く、犬の場合主に前足で体重を支えているので、このままでもなんら支障はなかったのでしょう。
レントゲンでみても筋肉に左右差はないし、足としてはしっかりと機能している様子。
このままでも何も問題ないかも知れない、しかし使われていない骨は退化していってしまう場合もあります。
さすがにそうなってしまったら筋肉だけでは体を支えきれないので、将来的に問題が起こる可能性があります。
正常な右足にも負担がかかります。
飼い主さんと相談したところ、まだ若いので手術して欲しいとのことでした。
ポイントは折れてから時間が経っているので、折れた骨の周りにがっちりと筋肉がくっついて剥がすのが大変だということ。
折れたところが丸くなって固まっているので、そこをそのままつなげても骨はくっつかないということ。
折れた先端を骨髄が見えるところまで切ってからつなげなければなりません。
さらにくっつこうとする力を強めるため、肩の骨から海綿骨を取ってきて移植する必要もあります。
手術中の写真が撮れればよかったのですが、それどころではなかったので写真はありません。
仲間にも集まってもらい、7時間にも及ぶ大手術は無事成功しました。
スクリューが斜めになっているところは骨折線を避けてあえて斜めにしてあるのであしからず。
終わったのは夜中の2時。
女性にはなかなか理解してもらえないのですが、整形外科の手術は大変ですがやりがいがあります。
ドリルやスクリューを使う手術はまさに男のロマンです。
特に仲間と集まってやるこのような大手術はアツいものがあります!
さて、あとは無事くっついてくれるのを待つのみ。
術後のベリーちゃんです。
翌日から元気な姿を見せてくれたので一安心。
手術から2週間、包帯も取れ、リハビリの必要がないくらい元気に走っています!
頼むから安静にしてくれ・・・